【音楽療法セッション記録】季節を感じ、心がほどける音楽の時間

6月セッション記録 季節のプログラム

こんにちは、音楽療法士の鎌谷恵里です。
2025年6月24日、神戸市内の
グループホームにて音楽療法セッションを実施しました。
今回は△フロアの8名の入居者さまを対象に、
約50分のセッションを行いました。

この日は梅雨の真っ只中で、湿気の多い空気とともに、
どこか気持ちも沈みがちな季節です。
でもそんな時こそ、音楽を通じて気持ちをリフレッシュし、
笑顔の時間を届けたいと思い、
季節の歌や懐かしの名曲を中心にプログラムを構成しました。

🌿 初対面の空気をやさしくほぐす「音」

セッション開始時、ある入居者さまから
「声が聞こえない」「歌詞が見えない」といった声があがり、
少し緊張した空気が流れました。
ですがそれも当然の反応。
△フロアの方々にとっては初めての音楽療法、
初めての外部の人、ということもあり、
少なからず警戒されていたのだと思います。

そこで、まずはウォーミングアップとして
「三百六十五歩のマーチ」を。
懐かしいメロディとリズムに合わせて、
足踏みをしながら歌うよう促すと、
歌詞幕を出した瞬間から自然と歌い出す方もおられ、
場に少しずつリズムと笑顔が戻ってきました。

🤲 歌と動きのコンビネーションで笑いが生まれる

続いて「幸せなら手をたたこう」では、
手拍子・足踏み・肩トントン・手で青ぐ、
などの動きを交えてデュアルタスク(同時作業)に挑戦しました。
歌いながら、別のことをするというのは
意外と難しいものなんですよ♪

4番目の「手で青ぐ」という動作がなかなか伝わらず、
皆さんが手を肩に当てるような動きになってしまいました💦
私自身も「幸せなら最初から」と
1番から順に振り返って行う振りを間違えてしまい、
その様子に皆さんからクスッと笑いが起こる場面も。

このような「失敗の共有」が、
結果として場の緊張をやわらげてくれることを改めて実感しました。

☔ 季節のうたと回想から広がる心の風景

その後は、季節感を大切にした歌の時間へ。
まずは「雨の季節ですね」と声をかけながら
雨雨降れ降れ☔️の「あめふり」を歌い、
次に七夕にちなんで「たなばたさま」を演奏しました。
「願い事は書かれましたか?」
とこちらから問いかけると、
参加者のお一人からは「お金があったら何でもできるねん」
と明るい冗談も飛び出し、みんなで大笑いしました。

このように、歌の背景や季節の風景を話しながら進めることで、
参加者のみなさんの表情がぐっとやわらかくなり、
昔の記憶や思い出が自然と引き出されていくのが感じられました。

🎼 音を「合わせる」喜び〜メロディベル合奏〜

次は「6月24日は“ドレミの日”」
というちょっとした豆知識から、
「ドレミの歌」をテーマにした合奏活動へ。

ミュージックベル

まずはキーボード伴奏に合わせて全体で歌い、
その後、一人ずつにメロディベルをお渡しして、
それぞれの音を担当していただきました。

歌詞幕を色分けして、ご自分の色の
タイミングで鳴らしていただきました。

ド=赤 レ=橙 ミ=黄 ファ=緑
ソ=水色 ラ=青 シ=紫

最初は戸惑いがあったものの、職員さんのサポートもあり、
皆さんが「自分の出番」を意識しながら
音を出してくれるようになり、
音の重なりが“合奏”として形になっていきました。

誰かと音を合わせる、待つ、譲る、耳を澄ます——
音楽活動の中で自然に生まれるこうした
コミュニケーションは、
グループ活動の良さそのものだと感じています。

🌹 美空ひばりさんの命日にリクエスト曲を

この日は美空ひばりさんの命日でもあったため、
リクエストタイムでは彼女の曲を中心に準備。

「港町十三番地」「柔」
「真赤な太陽」などを紹介すると、
「それ、どんな曲やったっけ?」という声も。
私が一節歌ってみせると、「ああそれそれ!」
とパッと顔が明るくなり、
続けて口ずさまれる方もいらっしゃいました。

曲間のズレやリズムの違いなど、
集団の中での調整は難しいこともありますが、
「誰かが主導し、他の人がそれを聞いて合わせる」
という流れが自然にできていたのが印象的でした。

🎵 最後は「ふるさと」で気持ちを一つに

セッションの締めくくりは、
毎回大切にしている「ふるさと」を。
最初はキーボード伴奏で歌いましたが、
ある参加者から
「隣の人の歌とずれていて気持ちよく歌えなかった」
との声があり、
2回目はアカペラで、
私が指揮をしながら全員でゆっくりと歌いました。

歌詞を指し示すことで、
どこを歌っているかをわかりやすくし、
少しずつ皆さんの歌声が揃っていく感覚がありました。
その変化に、私自身もとても感動しました。
「私にもできた!」という達成感を
セッションの中で感じていただけるようにしています。

🌼 心が通う瞬間を、また次回へ

最初は少し警戒していた参加者の方が、
途中から「これは習字してる人の字やな」「綺麗に書けてるな」と
歌詞幕を褒めてくださり、
目がよく合うようになっていき笑顔が見られたことが、
何よりも嬉しい出来事でした。

職員の方からも
「いつもより皆さんのテンションが高かった」
「普段はピリピリしている人同士が穏やかだった」
といったお声をいただき、
音楽が場の空気や人間関係に
ポジティブな影響を与えられる

ということを実感できた一日となりました。

✨ 音楽療法を通じて

音楽療法は、ただ歌を歌うだけでなく、
感情をほぐし、人と人との間にある
壁を自然に低くしてくれる力があります。
今回も、その効果を強く実感したセッションとなりました。

また次回も、皆さんと一緒に
楽しいひとときを作ることが出来ることを楽しみにしています。

 最後に

音楽療法えとわでは、
ご利用者さまの認知症の状態や生活リズム、施設の特徴に応じて、
四季折々の音楽を取り入れたセッションを行っています。

施設での導入をご検討の方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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