【音楽療法セッション記録】地域の力と音楽の力 ― 道場ふれあい昼食会

道場25年6月 季節のプログラム

2025年5月22日(木)、神戸市北区にある
道場地域福祉センターにて、
「ふれあい昼食会」の催しの一環で
音楽療法セッションを担当させていただきました。

参加されたのは元気な地域の高齢者の皆さま20名ほど。
初めて訪れる場所で、そして全く面識のない方々を
対象にするセッションは、緊張もありましたが、
その分入念な準備と現場での柔軟な対応を心がけ、
無事に45分間のプログラムを終えることができました。

🎯セッションの目的とねらい

今回のセッションは私が勤務している医療法人社団から
「音楽療法という取り組みを知っていただくこと」と
「楽しい気持ちでお帰りいただくこと」
を主な目標として設定しました。

地域の集まりに音楽が加わることで、
参加者の表情や身体の動き、
気持ちがどう変化していくのかを、
丁寧に観察しながら進めました。

🎹セッションの流れと使用楽器

45分のセッションでは、ストレッチや歌体操、
季節の歌、スカーフやシェイカーを使ったリズム活動など、
複数のアプローチを組み合わせて構成しました。

使用楽器は、キーボード、リトミックスカーフ、
野菜や果物型のシェイカー。

すべて、参加者の手に馴染みやすく、
無理なく参加できることを大切に選びました。

🎹セッションプログラム


♪ 1. 歌体操『世界の国からこんにちは』

今開催中である、「大阪万博」の話題から…
まずはスマホの音源を使って、
馴染みのある音楽・リズムに合わせた
ストレッチを実施しました。

軽く身体を動かすことで場がほぐれ、表情にも笑顔が見え始めます。
見本を示しながら、無理なくできる動きを提案し、
参加者自身のペースで取り組んでいただきました。


♪ 2. ウォーミングアップ『みかんの花咲く丘』

キーボードの伴奏で1曲目の歌唱に入ると、予想以上の反応が! 
特に前列の男性の大きな声に後押しされるように、
会場全体が歌声で満たされていきました。
「こんなに歌ってくださるなんて」と驚くと同時に、
この場の力を強く感じました。
皆さま、私の予想を遥かに超えるお元気な方ばかり‼️


♪ 3. 季節の歌『夏は来ぬ』『茶つみ』

季節を感じる曲として、『夏は来ぬ』を選曲。
難しい漢字もある歌詞ですが、
皆さんまったく臆することなく、
3番までしっかり歌い切ってくださいました。

続いて、当初は控え曲としていた
『茶つみ』も実施することに。
手拍子を交えてアカペラで歌うこの曲では、
自然と笑顔がこぼれ、会場に一体感が生まれました。


♪ 4. 回想と動きの活動『バラが咲いた』

この曲では「難読漢字クイズ」からスタート。
「石楠花」や「牡丹」などを提示すると、
「それは“しゃくなげ”ちゃう?」など活発な反応が。

そこから『バラが咲いた』の歌へとつなぎ、
2回目の歌唱ではリトミックスカーフを使用。
スカーフを丸めたり、上に放ったりと、
視覚的にも華やかで楽しいひとときとなりました。
七色の薔薇の花が咲いていました🌹


♪ 5. 楽器活動『高原列車は行く』

野菜や果物型のシェイカーを用いたリズム活動です。

まずはそれぞれの楽器を紹介し、名前当てクイズ!
そして「好きなタイミングで音を鳴らしてみてくださいね」
と自由なスタイルで実施しました。

テンポに合わせて工夫しながら音を鳴らす様子は、
まさに表現の場。
楽器を通して一人ひとりの個性が垣間見えました。


♪ 6. クールダウン『故郷』

最後は静かに『故郷』を歌い、セッションを締めくくりました。
『高原列車は行く』で高まった気持ちを、
穏やかな伴奏と共に少しずつ落ち着かせ、
気持ちよく終えることができたように思います。


🎶振り返って

事前にはセッションが私自身久々で
初めての方々に対し、不安も多かった今回のセッションですが、
現場の雰囲気や参加者の表情、歌声、
身体の動きに触れることで、私が一番楽しんでいたのでは?
というほどに音楽の力を再確認することができました。

後から伺ったところによると、
道場地域福祉センターでは25年間にわたり
「歌声喫茶」が開催されていたそうで、
音楽・歌に対する関心が
非常に高い地域であることを知りました。

だからこそ、参加者の皆さんの反応も
とても前向きで、お元気で、
終始あたたかな空気が流れていたのだと感じます。


✍️今後への課題

一方で、歌体操のテンポ設定など、
細かな改善点も見つかりました。

元気な方が多いとはいえ、
原曲のテンポでは速すぎる場面もあったため、
より丁寧な準備と柔軟なアレンジ力が求められると実感しました。

また、リードする立場として、
場の空気に飲まれず落ち着いて
皆さんの反応をしっかりフィードバックしながら
進行することの大切さも、
今回改めて学ぶ機会となりました。


初めての場所、初めての皆さんとの出会いでしたが、
音楽を通してあっという間に距離が縮まり、
「またやってほしい」「楽しかった」
という声をいただけたことは、大きな励みとなりました。

これからも、地域の中でこうした交流の場が
広がっていくよう、音楽療法士として
できることを一つひとつ積み重ねていきたいと思います。


「あななとともに、音楽で心動くひとときを」
これからも、音楽療法えとわは、
その想いを大切に活動してまいります。

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